
私たちは、海辺で香料を生業としてきた一族の出身です。
かつて香は、商品ではなく、人々の心を静かに整えるためのものでした。
「煙霞境」は、海風と木の香りが混ざり合うこの土地に生まれました。
古き職人たちが香料や木材、水、そして手のぬくもりをもって香を練り上げた技と心を、現代に生きる私たちなりの形で受け継いでいます。
私たちは信じています。
真の香りとは、奇をてらうものでも、華やかさを競うものでもなく、そっと心に触れる力を持つものだと。
香りは声高ではありませんが、時を超えて届きます。
快楽のためではなく、内なる自分を目覚めさせるものです。
煙霞境において、ひとすじの香は、やさしくも確かな帰郷です。
― 心の静けさ、集中、そして自由へと還るための。